命題論理の意味論【形式論理学2‐1】

logic 形式論理学

形式論理学についての解説の記事です.

ここでは命題論理の意味論について解説します.

命題論理の意味論の基本概念

命題論理の意味論は、命題がどのようにして「真」か「偽」かを定義し、それをもとに複雑な論理式を評価する仕組みを扱います。これを通じて、論理式がどのような真理値を持つかどうかを形式的に解析するための理論的な枠組みが提供されます。以下に、命題論理の意味論に関する主要な概念を詳しく説明します。

命題の記号化

命題論理において、命題とは、真または偽のどちらかの値を持つ文章や式を指します。命題を記号的に表現するために、通常は英大文字(\(P, Q, R\)など)が使用されます。たとえば、「今日は雨が降っている」という命題を\(P\)で表すと、\(P\)は「真理値」を持ち、それが「真(\(1\))」または「偽(\(0\))」となります。

真理値 (Truth Values)

真理値は、命題の「真」または「偽」の状態を表します。命題論理では、命題は必ず以下のどちらかの真理値を持ちます:

  • 真 (True): 通常、\(1\)で表されます。
  • 偽 (False): 通常、\(0\)で表されます。

したがって、すべての命題は「\(1\)」か「\(0\)」のいずれかを取ることになります。この仕組みにより、命題論理は非常に形式的なシステムとなっており、命題の内容自体(意味や具体的な状況)は問わず、その論理的構造と真理値のみを扱います。

命題\(P\)の真理値を\(〚P〛\)と表します。


論理結合子とその意味(Semantics of Logical Connectives)

否定(Negation)

命題 \(P\) の否定 \(\neg P\) は、 \(P\) が「真」の場合に「偽」、 \(P\) が「偽」の場合に「真」となります。

連言(Conjunction)

命題 \(P\) と \(Q\) が両方とも「真」であるときに限り、\(P \land Q\) は「真」となります。これは「かつ」に相当します。

選言(Disjunction)

命題 \(P \lor Q\) は、 \(P\) または \(Q\) が「真」であれば「真」となります。「または」に相当します。

含意(Implication)

命題 \(P \rightarrow Q\) は、 \(P\) が「偽」または \(Q\) が「真」であれば「真」となります。含意の独特な点は、前件が「偽」の場合に結論が常に「真」になることです。

同値(Biconditional)

命題 \(P \leftrightarrow Q\) は、 \(P\) と \(Q\) の真理値が同じである場合に「真」となります。両者が同時に真または偽であるときのみ真です。

複雑な命題

上記の結合子を用いて、複雑な命題を作ることができます。

例:

\(\neg (P \land Q), P \rightarrow \neg Q\)


真理表(Truth Tables)

基本的な真理表

真理表は、命題および結合詞の真理値を体系的に整理する方法です。たとえば、単純な \(P \land Q\) の真理表を作成して、それぞれの命題の真理値に対する出力を示します。

単純な真理表の例:

\(P\)\(Q\)\(\neg P\)\(P \land Q\)\(P \lor Q\)\(P \rightarrow Q\)\(P \leftrightarrow Q\)
\(1\)\(1\)\(0\)\(1\)\(1\)\(1\)\(1\)
\(1\)\(0\)\(0\)\(0\)\(1\)\(0\)\(0\)
\(0\)\(1\)\(1\)\(0\)\(1\)\(1\)\(0\)
\(0\)\(0\)\(1\)\(0\)\(0\)\(1\)\(1\)

複雑な命題の真理表

複数の論理結合詞を含む複雑な命題についても、真理表を用いて全ての可能な組み合わせに対する真理値を求めることができます。

論理的思考を強化する道具として広く使われます。

複雑な命題の真理表の例

\(\neg (P \land Q)\)

\(P\)\(Q\)\(P \land Q\)\(\neg (P \land Q)\)
\(1\)\(1\)\(1\)\(0\)
\(1\)\(0\)\(0\)\(1\)
\(0\)\(1\)\(0\)\(1\)
\(0\)\(0\)\(0\)\(1\)

真理値分析

上記のように、真理表を利用して複雑な命題の真偽を求めることができます。

これを真理値分析といいます。

二つの命題からなる複雑な命題の真理値分析の例

\(\neg P \rightarrow Q\)の真理値分析。

まず、命題\(P,Q\)の真理値を明示します。その次に\(\neg P\)がありますので、その真理値を記します。

\(P\)\(Q\)\(\neg P\)
\(1\)\(1\)\(0\)
\(1\)\(0\)\(0\)
\(0\)\(1\)\(1\)
\(0\)\(0\)\(1\)

\(\neg P\)は\(P\)の否定ですので、\(P\)の真理値が\(1\)のとき\(\neg P\)の真理値は\(0\)、\(P\)の真理値が\(0\)のとき\(\neg P\)の真理値は\(1\)となります。

最後に\(\neg P \rightarrow Q\)の真理値を求めます。

\(P\)\(Q\)\(\neg P\)\(\neg P \rightarrow Q\)
\(1\)\(1\)\(0\)\(1\)
\(1\)\(0\)\(0\)\(1\)
\(0\)\(1\)\(1\)\(1\)
\(0\)\(0\)\(1\)\(0\)

\(\neg P\)が真のときは、\(Q\)が真なら\(1\)、\(Q\)が偽なら\(0\)、\(\neg P\)が偽のときは、\(Q\)の真偽に関わらず\(1\)となります。

参考文献

参考文献を紹介します。

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野矢茂樹著、『論理学』

長岡亮介著、『論理学で学ぶ数学』

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