自然数【解析学①】

数学

数学の学び直しのための記事です.

解析学の始めとして,まずは自然数について記します.

目次

①自然数

②問題

③参考文献

①自然数

自然数はものを数えることに由来していると思います。

それゆえ,自然数というと,1,2,3,…とするのが普通です.

ですが,数学基礎論では,空集合\(\emptyset\)を0として,空集合から成る集合\(\{\emptyset\}\)を1,\(\emptyset\)と\(\{\emptyset\}\)から成る集合\(\{\emptyset, \{\emptyset\}\}\)を2,…として定義します.

この記事でも,自然数を\(\{0, 1, 2, …\}\)とします.

自然数から成る集合を\(\mathbb {N}\)とします.

他方,整数の集合を\(\mathbb {Z}\),正の整数から成る集合を\(\mathbb {Z}^{+}\)とします.

日常では,\(\{0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, …\}\)という表記,すなわち十進法表記で自然数を表しますが,他の表記法もあります.

たとえば,二進法表記では,上記は\(\{0, 1, 10, 11, 100, 101, 110, 111, 1000, 1001, 1010, 1011, …\}\)となります.

このような表記は,位取り記数法とよばれ,0を追加していくことでいくらでも大きな数を表記できるとても合理的な表記法です.

日本の一,十,百,千,万,億,…という表記では,大きい数を表すためには異なる名前の数がいくらでも必要となります.

十進法の場合の10など,位取り記数法で基準になる数を基数といいます.

さらには,\(1兆=1000000000000=1 \times 10^{12}\)という表記法(指数表記法)もあり,とても便利です.

1兆は十進法で13桁ですが,\(10^{12}\)の指数(12)に1を加えた数になります.

一般に,数nをpを基数とした位取り記数法で表した時,その桁数は\([\log_{p} n]+1\)になります(\([・]\)はガウス記号であり,実数を引数としてそれを越えない最大の整数を表します).

日頃から慣れ親しんでいる十進法表記ですが,これが特殊な表記法の一つである,ということは心にとどめておくべきでしょう.

上記のような表記法も,自然数の演算とは不可分です.

たとえば,\(1234(十進法)=1 \times 10^{3}+2 \times 10^{2}+3 \times 10^{1}+4 \times 10^{0}\)です.

そもそも,自然数自体が,0に1を加えていくことで自然数全体が定義されます.

先ほど,二進法についてふれましたが,たとえば

\(10110(二進法)=1 \times 2^{4}+0 \times 2^{3}+1 \times 2^{2}+1 \times 2^{1}+0 \times 2^{0}\)

\(=16+0+4+2+0=22(十進法)\)です.

十進法の\(22\)を二進法で表す場合は,\(22\)を\(2\)で割っていき,最終的な商が最も上の位,その次の位からは余りを逆順に並べればよいです.

\(22 \div 2 = 11 … \underline {0},\)

\(11 \div 2 = 5 … \underline {1},\)

\(5 \div 2 = 2 … \underline {1},\)

\(2 \div 2 = \underline {1} … \underline {0}\)

\(\longrightarrow 10110\)

$$\begin{array}{ccc} 2 & \underline {)22} & \dots 0 \\ 2 & \underline {)11} & \dots 1 \\ 2 & \underline {)5} & \dots 1 \\ 2 & \underline {)2} & \dots 0 \\ \ & 1 & \ \end{array}$$

十六進法では,\(10→A,11→B,12→C,13→D,14→E,15→F\)と一桁化して表記します.たとえば

\(B5F2=11 \times 16^{3}+5 \times 16^{2}+15 \times 16^{1}+2 \times 16^{0}\)

\(=45056+1280+240+2=46578(十進法)\)です.

PCに用意されている電卓のソフトウェアでは,「プログラマー」というモードがあり,そこでは二進法,八進法,十進法,十六進法の表示ができるようになっています.

これらの表記法の変換は,いい頭の体操になります.

問題

問題1 次の十進法表記の数を二進法で表記せよ.

(1) \(16\) (2) \(100\) (3) \(999\) (4) \(4095\)

問題2 次の二進法表記の数を十進法で表記せよ.

(1) \(100\) (2) \(11111\) (3) \(1100010\) (4) \(101010101\)

問題3 次の十進法表記の数を三進法で表記せよ.

(1) \(27\) (2)  \(1000\) (3) \(380\) (4) \(3594\)

問題 十進法の\(10,11,12,13,14,15\)をそれぞれ十六進法で\(A,B,C,D,E,F\)と表す.次の十進法表記の数を十六進法で表記せよ.

(1) \(31\) (2) \(1000\) (3) \(9999\) (4) \(32767\)

問題 次の十六進法表記の数を十進法で表記せよ.

(1) \(100\) (2) \(FFF\) (3) \(1A2D\) (4) \(73EB\)

解答例

問題1 

(1) 16(十進法)=24=1×24+0×23+0×22+0×21+0×20=10000(二進法)

(2) 100(十進法)=64+32+4=1×26+1×25+0×24+0×23+1×22+0×21

+0×20=1100100(二進法)

(3) 999(十進法)=512+256+128+64+32+4+2+1=1×29+1×28+1×27

+1×26+1×25+0×24+0×23+1×22+1×21+1×20=1111100111(二進法)

(4) 4095(十進法)=4096-1=212-1=1000000000000-1=111111111111

(二進法)

問題2

(1) 100(二進法)=1×22+0×21+0×20=4(十進法) 

(2) 11111(二進法)=100000-1=26-1=31(十進法)

(3) 1100010(二進法)=1×26+1×25+1×21=64+32+2=98(十進法)

(4) 101010101(二進法)=1×28+1×26+1×24+1×22+1×20=256+64+16

+4+1=341(十進法)

問題3

(1) 27÷3=9…0 9÷3=1…0 →27(十進法)=100(三進法)

27(十進法)=1×32+0×31+0×30=100(三進法)

(2) 1000÷3=333…1 333÷3=111…0 111÷3=37…0 37÷3=12…1 12÷3=4…0 4÷3=1…1

→1000(十進法)=1101001(三進法)

1000(十進法)=1×36+1×35+0×34+1×33+0×32+0×31+1×30=1101001(三進法)

(3) 380÷3=126…2 126÷3=42…0 42÷3=14…0 14÷3=4…2 4÷3=1…1

→380(十進法)=112002(三進法)

380(十進法)=1×35+1×34+2×33+0×32+0×31+2×30=112002(三進法)

(4) 3594÷3=1198…0 1198÷3=399…1 399÷3=133…0 133÷3=44…1

44÷3=14…2 14÷3=4…2 4÷3=1…1

→3594(十進法)=11221010(三進法)

3594(十進法)=1×37+1×36+2×35+2×34+1×33+0×32+1×31+0×30

=11221010(三進法)

問題

(1) 31(十進法)=16+15=1×161+15×160=1F(十六進法)

(2) 1000(十進法)=3×162+14×161+8×160=3E8(十六進法)

(3) 9999(十進法)=2×163+7×162+15×160=270F(十六進法)

(4) 32767(十進法)=32768-1=8×163-1×160=8000-1=7FFF(十六進法)

問題

(1) 100(十六進法)=1×162=256(十進法)

(2) FFF(十六進法)=1000-1(十六進法)=1×163-1×160=4096-1=4095(十進法)

(3) 1A2D(十六進法)=1×163+10×162+2×161+13×160=6701(十進法)

(4) 73EB(十六進法)=7×163+3×162+14×161+11×160=29675(十進法)

参考文献

解析学に関する参考文献を以下に挙げます.

松坂和夫著,『解析入門』

杉浦光夫著,『解析入門I』

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