数学の学び直しのための記事です.
数学の対象を考察するための前提としての集合について記します.
目次
①集合について
②外延的記法と内包的記法
③問題
④参考文献
①集合について
数学の考察の対象になるものは,なんらかのものから構成される集合となります.
たとえば,数学では「自然数全体の集合」,「実数全体の集合」を考察します.
自然数全体の集合を\(\mathbb {N}\),実数全体の集合を\(\mathbb {R}\)と書きます.
数のほかにも,点や関数なども集合を構成するものとなります.
集合を構成するものを,集合の元(または要素)といいます.
\(a\)が集合\(A\)に含まれるとき,「\(a\)は集合\(A\)の元である」とか,「\(a\)は集合\(A\)に属する」といい,\(a \in A\)と書きます.
\(b\)が集合\(A\)の元ではない場合,\(b \notin A\)と書きます.
\(1, 2, 3, 4\)からなる集合\(B\)を,\(B=\{1, 2, 3, 4\}\)と書きます.
ここで注意点があり,例えば\(\{2, 3, 1, 4\}\)は\(\{1, 2, 3, 4\}\)と同じ集合になります.
つまり,元の表記の並び順の違いは無視されます.
上記の集合\(B\)は,限られた個数の元を含み,有限集合とよばれます.
自然数全体の集合\(\mathbb {N}\)や実数全体の集合\(\mathbb {R}\)は,無限個の元を含むので,無限集合とよばれます.
ただ一つの元から成る集合を考えることもあります.
たとえば,\(\{1, 2, 4, 8\}\)と\(\{1, 3, 9\}\)に共通する元をもつ集合を考えることがあり,それは\(\{1\}\)なのですが,これは元\(1\)とは別の対象と考える必要があります.
さらには,\(\{1, 3, 5, 7\}\)と\(\{2, 4, 6, 8\}\)に共通する元をもつ集合を考えることもあり,それはいかなる元ももたない空集合\(\emptyset\)です.
自然数全体の集合\(\mathbb {N}\),整数全体の集合\(\mathbb {Z}\),実数全体の集合\(\mathbb {R}\),複素数全体の集合\(\mathbb {C}\)は数学ではよく研究されている特別な集合です.
②外延的記法と内包的記法
集合の元の表し方としては,まず\(\{1, 2, 3, 4, …, n, …\}\)というものがあります.
これを外延的記法といいますが,\(…\)が何を示すかが明示的でないといけません.
他方,上記は\(\{n|n\)は正の整数\(\}\)と表せます.
元xの性質を命題関数\( P(x) \)で表します.
一般に\(\{x|P(x)\}\)と表し,これを内包的記法といいます.
③問題
問題1 \(6\)が集合\(A=\{n|\)正の整数nは42の約数\( \}\)に属することを示せ.
問題2 \(63\)が集合\(B=\{n|\)正の整数\(n\)は\(7\)の倍数\( \}\)に属することを示せ.
問題3 集合\(C=\{2, 4, 6, …, 2n, …\}\)を内包的記法で表せ.
問題4 集合\(D=\{n|\)正の整数\(n\)について、\(4 \lt n \leq 9\}\)を外延的記法で表せ.
解答例
問題1
\(42\)を素因数分解すると,\(42=2\times3\times7\)であり,\(42\)の約数は\(1, 2, 3, 6, 7, 14, 21, 42\)である.したがって,\(6 \in A\)である.
問題2
\(63\)を素因数分解すると、\(63=3^2×7\)であり、\(63\)は\(7\)の倍数である。したがって、\(63 \in B\)である。
問題3
集合\(C\)は偶数からなる集合である。したがって、集合\(C\)を内包的記法で表すと、\(C=\{n|\)正の整数\(n\)は偶数\( \}\)となる。
問題4
\(4<n≦9\)を満たす正の整数\(n\)は、\(5, 6, 7, 8, 9\)である。したがって、集合\(D\)を外延的記法で表すと、\(D=\{5, 6, 7, 8, 9\}\)である。
④参考文献
集合論に関する参考文献を以下に挙げます。
松坂和夫著、『集合・位相入門』
赤攝也著、『集合論入門』