命題の真偽と真理値【形式論理学1】

logic 形式論理学

数学の学び直しのための記事です.ここでは数学を学ぶために役立つ形式論理学について解説します.

命題について

数学に限らず,物事を記述したり,考察したり,推論したりするために,命題は必要不可欠です.

「太郎は次郎の兄である」という文も,命題といえます.

命題の特徴は,主語述語を含むということです.

数学の命題では,「\(2\)は偶数である」というように,主語が数(集合の元)である場合もありますし,「循環小数は有理数である」というように,主語が集合である場合もあります.

形式論理学でまず考察するのは,真偽がはっきりしているものです.

上述の「太郎は次郎の兄である」という文も,真偽がはっきりしています.

「\(2\)は偶数である」という文も,真偽がはっきりしていて,真です.

命題の真理値

命題が真である場合,その命題の真理値を\(1\)とし,命題が偽である場合,その真理値を\(0\)とします.

命題\(A\)の真理値を\(〚A〛\)と表します.

問題

問題1

以下の命題について,その真偽を答えよ.

(1) \(9\)は\(4\)で割り切れる.

(2) \(11\)は奇数である.

(3) 奇数と偶数を足してできる数は奇数である.

(4) \(23\)は素数である.

解答例

(1) \(9=2\times4+1\)であるから,\(9\)は\(4\)で割り切れない.よって命題は偽である.

(2) \(11=5\times2+1\)は奇数であるから,命題は真である.

(3) 奇数を\(n=2k+1\),偶数を\(m=2k’\),ただし\(k\),\(k’\)は整数,とする.

奇数と偶数の和は,\(n+m=2k+1+2k’=2(k+k’)+1\)となり,奇数である.

したがって,命題は真である.

(4) \(23\)は素数であるから,命題は真である.

問題2

以下の命題について,真理値を求めよ.

(1) \(A\):\(221\)は\(17\)で割り切れる.

(2) \(B\):\(68\)は奇数である.

(3) \(C\):奇数と偶数をかけてできる数は奇数である.

(4) \(D\):\(91\)は素数である.

解答例

(1) \(221=13\times17\)であるから,命題は真である.\(〚A〛=1\)

(2) \(68\)は偶数であるから,命題は偽である.\(〚B〛=0\)

(3) 奇数を\(n=2k+1\),偶数を\(m=2k’\),ただし\(k\),\(k’\)は整数,とする.

奇数と偶数の積は,\(nm=(2k+1)(2k’)=4kk’+2k’=2(2kk’+1)\)であるから,偶数である.

命題は偽である.\(〚C〛=0\)

(4) \(91=13\times7\)であるから,\(91\)は素数ではない.命題は偽である.\(〚D〛=0\)

参考文献

形式論理学に関する参考文献を以下に挙げます.

野矢茂樹著,『論理学』

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長岡亮介著,『論理学で学ぶ数学』


赤攝也著,『現代数学概論』


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