植物の組織・器官【高校生物の復習10】

生物学基礎

高校生物の大きな難所の一つである「植物の組織・器官」の全体像をすっきりと整理できる復習記事を作成しました。植物の体は、一見複雑に見えますが、「細胞 → 組織 → 組織系 → 器官 → 個体」という美しい階層構造を持っています。

植物の組織:すべての始まりは「細胞分裂」から

植物の組織は、現在も分裂を続けている「分裂組織」と、すでに役割が決まって分裂を止めた「永久組織」の2つに大別されます。

分裂組織(成長を行う部分)

植物が縦や横に大きくなるための工場です。場所によって2つに分かれます。

  • 頂端分裂組織(ちょうたん〜):茎の先端(茎頂)や根の先端(根端)にあり、植物が縦に伸びる(伸長成長)のを担います。
  • 形成層(けいせいそう):茎や根の内部にあり、植物が横に太くなる(肥大成長)のを担います(※主に双子葉類に見られます)。

永久組織(特定の役割を持つ部分)

分裂組織で作られた細胞が、それぞれ専門の形や働きに変化(分化)したものです。これらは次の「組織系」へとまとめられます。

植物の組織系:3つの主要なシステム

植物の永久組織は、機能や配置によって3つの組織系に分類されます。ここが試験でも特に重要なパートです。

表皮系(ひょうひけい):体を守る最外層

植物の表面を覆う、人間でいう「皮膚」の役割です。

  • 表皮(表皮細胞):外敵や乾燥から身を守る1層の細胞層。葉の表面には、水の蒸発を防ぐワックス状のクチクラ層が発達しています。
  • 気孔(きこう):主に葉の裏側にあり、気体(酸素・二酸化炭素・水蒸気)の出入り口となります。三日月形の孔辺細胞(こうへんさいぼう)2つによって形成され、この細胞の体積変化によって開閉します。
  • 根毛(こんもう):根の表皮細胞が変形して突起状になったもの。表面積を広げて、効率よく水や無機塩類を吸収します。

維管束系(いかんそくけい):水と栄養の通り道

植物の体中に物質を運ぶ「血管」の役割です。木部師部で構成されています。

構成主な細胞・管運ぶ物質特徴
木部(もくぶ)導管(被子植物)
仮導管(裸子植物・シダ植物)
・無機塩類死んだ細胞からなる。導管は上下の壁が抜けた1本のパイプ状。
師部(しぶ)師管(しかん)有機物(光合成産物など)生きた細胞(核はない)からなる。上下の壁にふるいのような穴(師板)がある。

覚え方ポイント:内側が「水(木部)」、外側が「栄養(師部)」です。

基本組織系(きほんそくけい):実質的な作業スペース

表皮系と維管束系の「すき間」を埋める部分ですが、ここが植物の生命活動の主役です。

場所によって、以下のような非常に多様な働き(機能)を持っています。

  • 光合成:葉緑体を多く持ち、光エネルギーから栄養を作ります。
  • 貯蔵・貯水:ジャガイモの塊茎やサボテンのように、栄養や水を蓄えます。
  • 分泌・通気:蜜を分泌したり、水生植物のように空気を通す隙間(通気組織)を作ったりします。

植物の器官:役割ごとのパーツ

組織系が集まって、特定の機能を持つ「植物器官」が作られます。目的によって栄養器官生殖器官の2つに分かれます。

栄養器官(個体を維持するための器官)

自身の成長や生命維持に関わる、根・茎・葉のことです。特に「葉」の内部構造は記述問題や図の読み取りで頻出です。

葉の内部構造(基本組織系の専門化)

葉の内部(表皮に挟まれた部分)は、光合成に特化した基本組織系で満たされています。

  • 柵状組織(さくじょうそくけい):葉の表側にあり、円柱状の細胞が隙間なくギッシリ並んでいます。光を効率よく受けるため、葉緑体が豊富です。
  • 海綿状組織(かいめんじょうそくけい):葉の裏側にあり、不規則な形の細胞が隙間(細胞間隙)だらけで並んでいます。気孔から取り込んだ気体を流通させるのに適しています。

生殖器官(子孫を残すための器官)

次世代を残すための器官で、被子植物においては(やがて果実や種子になる)がこれに当たります。

スピードチェック!重要対応まとめ

復習の仕上げに、頭の中で以下のつながりが一致するか確認してください。

  • 縦に伸びる = 頂端分裂組織
  • 横に太くなる = 形成層
  • 水を通す(死細胞) = 木部(導管・仮導管)
  • 糖を通す(生細胞) = 師部(師管)
  • 葉の表側(ギッシリ) = 柵状組織(光合成メイン)
  • 葉の裏側(スカスカ) = 海綿状組織(気体通しメイン)

括弧穴埋め問題

【第1問:組織の分類】 植物の組織は、現在も細胞分裂を行っている( ① )組織と、すでに特定の形や働きに分化して分裂を止めた( ② )組織に大別される。

【第2問:伸長と肥大】 茎や根の先端にあって植物の縦方向への成長を担うのは( ③ )分裂組織であり、茎や根の内部にあって横方向への肥大成長を担うのは( ④ )である。

【第3問:表皮の働き】 葉の表面の( ⑤ )細胞には、水の過剰な蒸散を防ぐワックス状の( ⑥ )層が発達している。

【第4問:気孔の構造】 葉の裏側に多く見られる気孔は、2つの三日月形をした( ⑦ )細胞によって形成されており、この細胞の体積変化によって開閉が調節される。

【第5問:水の通り道】 維管束系のうち、根から吸収した水や無機塩類の通り道となるのは( ⑧ )であり、被子植物では( ⑨ )という死んだ細胞からなる長い管がその役割を担っている。

【第6問:栄養の通り道】 光合成によって作られた有機物が通る管は( ⑩ )であり、これは( ⑪ )細胞から構成されているが、成熟すると核を失うという特徴がある。

【第7問:基本組織系の機能】 基本組織系は、表皮系と維管束系の隙間を埋めるだけでなく、葉緑体を用いた( ⑫ )や、ジャガイモのように栄養を蓄える( ⑬ )など、多様で実質的な生命活動を行う。

【第8問:葉の表側】 葉の内部構造において、表側に位置し、円柱状の細胞が隙間なくギッシリと並んで活発に光合成を行う組織を( ⑭ )組織という。

【第9問:葉の裏側】 葉の内部構造において、裏側に位置し、不規則な形の細胞が隙間(細胞間隙)を多く持って並び、気体の流通に適している組織を( ⑮ )組織という。

【第10問:器官の分類】 植物の器官のうち、根・茎・葉のように個体の維持や成長に関わるものを( ⑯ )器官と呼び、花のように子孫を残すためのものを( ⑰ )器官と呼ぶ。

解答とワンポイント解説

①:分裂

②:永久

③:頂端(ちょうたん)

④:形成層(けいせいそう)

解説:頂端=縦、形成層=横の成長です。

⑤:表皮

⑥:クチクラ

⑦:孔辺(こうへん)

解説:孔辺細胞は表皮細胞が変形したものですが、表皮細胞と違って「葉緑体」を持っています(テスト頻出!)。

⑧:木部(もくぶ)

⑨:導管(どうかん)

解説:裸子植物やシダ植物の場合は「仮導管」になります。

⑩:師管(しかん)

⑪:生(いき)た

解説:導管は「死んだ細胞」、師管は「生きた細胞」の並びです。

⑫:光合成

⑬:貯蔵(※貯水、分泌、通気なども正解)

⑭:柵状(さくじょう)

⑮:海綿状(かいめんじょう)

解説:顕微鏡の断面図問題では、上が柵状(濃い緑)、下が海綿状(隙間あり)と見分けましょう。

⑯:栄養

⑰:生殖

正誤選択問題(〇か×か)

【第1問】 植物のすべての細胞は、生涯にわたって絶えず細胞分裂を繰り返しており、特定の形や働きに変化することはない。

【第2問】 茎や根が横方向に太くなる「肥大成長」を担っているのは、茎や根の内部にある形成層という分裂組織である。

【第3問】 葉の表面を覆う表皮細胞のさらに外側には、水の蒸発(蒸散)を防ぐためのクチクラ層が発達している。

【第4問】 気孔を形成する「孔辺細胞」は表皮細胞が変形したものであるため、一般的な表皮細胞と同様に葉緑体を持たない。

【第5問】 根毛は、根の先端にある頂端分裂組織の細胞がいくつも細長くつながることで、吸水のための表面積を広げている。

【第6問】 被子植物の木部にある「導管」は、上下の細胞壁が抜けて1本のパイプ状になった構造をしており、細胞自体は死んでいる。

【第7問】 光合成産物などの有機物を運ぶ「師管」は、核を持たない生きた細胞が縦につながってできており、上下の境界には細かい穴のあいた師板がある。

【第8問】 基本組織系は表皮系と維管束系の隙間を埋めるだけの組織であり、光合成や物質の貯蔵といった積極的な生命活動には関与しない。

【第9問】 葉の断面を観察すると、表側に位置する海綿状組織には細胞が隙間なく並んでおり、裏側に位置する柵状組織には多くの隙間(細胞間隙)が見られる。

【第10問】 植物の器官のうち、根・茎・葉は個体の生命維持に関わる「栄養器官」であり、花や果実は子孫を残すための「生殖器官」に分類される。

解答と解説

【第1問】 ×

解説:植物の組織は、細胞分裂を続ける「分裂組織」と、分裂を止めて特定の形や働きに変化(分化)した「永久組織」に分かれます。すべての細胞が分裂を続けるわけではありません。

【第2問】 〇

解説:正しい記述です。縦に伸びるのが「頂端分裂組織」、横に太くなる(肥大成長)のが「形成層」です。

【第3問】 〇

解説:正しい記述です。クチクラ層はワックス状の構造で、陸上植物が乾燥から身を守るために重要な役割を果たしています。

【第4問】 ×

解説:ここが超頻出のひっかけポイントです!通常の表皮細胞には葉緑体がありませんが、気孔を作る孔辺細胞には葉緑体が存在します。この葉緑体による光合成なども気孔の開閉に関わっています。

【第5問】 ×

解説:根毛は、1つの表皮細胞が外側に向かって突起状にびよーんと伸びたものです。複数の細胞がつながったものではありません。

【第6問】 〇

解説:正しい記述です。導管は上下の壁が消失した「死んだ細胞」の並びであり、効率よく水を吸い上げるための土木工事が完了した土管のようなイメージです。

【第7問】 〇

解説:正しい記述です。師管は「生きた細胞」ですが、成熟すると核を失うという非常にユニークな特徴を持っています。

【第8問】 ×

解説:基本組織系は単なる「すき間埋め」ではなく、光合成(葉肉組織)や栄養の貯蔵(ジャガイモの塊茎など)、貯水など、植物の生存に不可欠な化学工場・倉庫としての実質的な役割を担っています。

【第9問】 ×

解説:位置と特徴が完全に逆です。表側が「柵状組織(細胞が柵のようにギッシリ)」で、裏側が「海綿状組織(海綿=スポンジのように隙間だらけ)」です。

【第10】 〇

解説:正しい記述です。自分を育てるための「栄養器官(根・茎・葉)」と、次世代を残すための「生殖器官(花・果実・種子)」の区別は基本でありながら重要です。

参考文献

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