線型代数学の学習の記事です。
本記事では、ベクトルの定義について説明します。
ベクトルの基本概念
ベクトルの直感的理解
ベクトルは、方向と大きさを持つ量であり、物理的な量や空間内の位置を示すために使われます。例えば、位置を示す矢印や力のベクトルなどが該当します。
ベクトルの形式的定義
ベクトルは、順序付けられた数の組で表されます。例えば、2次元空間のベクトル \(\mathbf{v}\) は \(\mathbf{v} = (v_1, v_2)\) という形で書かれます。このように、ベクトルは数値の組であり、列ベクトルや行ベクトルとして表記されます。
ベクトルの成分
成分
ベクトルの成分は、ベクトルが指す方向と大きさを決定する数値であり、空間の次元に応じた個数の成分を持ちます。例えば、3次元空間のベクトルは \(\mathbf{v} = (v_1, v_2, v_3)\) であり、ここで \(v_1, v_2, v_3\) がベクトルの成分です。
ベクトルの次元
ベクトルの次元は、そのベクトルが属する空間の次元を示します。2次元空間のベクトルは2つの成分を持ち、3次元空間のベクトルは3つの成分を持ちます。一般に、\(n\) 次元空間のベクトルは \(n\) 個の成分を持ちます。
ベクトルの表現方法
座標表示
ベクトルは座標系に基づいて表現されます。デカルト座標系では、ベクトル \(\mathbf{v}\) は \((v_1, v_2, …, v_n)\) として表されます。極座標系やその他の座標系でもベクトルは異なる形式で表現されますが、座標系に依存せず一般的な表現方法を理解することが重要です。
基本ベクトル
基本ベクトル(単位ベクトル)は、座標系の各方向を示すための標準的なベクトルです。例えば、2次元空間では \(\mathbf{e}_1 = (1, 0)\) と \(\mathbf{e}_2 = (0, 1)\) が基本ベクトルであり、これらを用いて任意のベクトルを表現できます。3次元空間では \(\mathbf{e}_1 = (1, 0, 0)\)、\(\mathbf{e}_2 = (0, 1, 0)\)、\(\mathbf{e}_3 = (0, 0, 1)\) が基本ベクトルです。
ベクトルの表記
ベクトルは通常、太字や矢印で表記されます。例えば、\(\mathbf{v}\) や \(\vec{v}\)などです。これにより、スカラー(単なる数値)との違いを明確にします。
ベクトルの相等
幾何学的視点
二つのベクトルが等しいとは、幾何学的にはそれらが空間内で同じ位置に重なることを意味します。具体的には、あるベクトル \(\mathbf{u}\) を別のベクトル \(\mathbf{v}\) へ平行移動させたとき、両者が完全に一致する場合、\(\mathbf{u}\) と \(\mathbf{v}\) は等しいとされます。これにより、ベクトルの大きさと方向が一致していることが確認できます。
解析的視点
解析学的には、ベクトルが等しいとは、その成分がそれぞれ等しいことを意味します。すなわち、ベクトル \(\mathbf{u} = (u_1, u_2, …, u_n)\) と \(\mathbf{v} = (v_1, v_2, …, v_n)\) が等しいためには、すべての成分が一致する必要があります。つまり、\(\mathbf{u} = \mathbf{v}\) のためには、\(u_i = v_i\) がすべての \(i\) に対して成り立つ必要があります。
ベクトルの相等の重要性
ベクトルの相等性を理解することで、ベクトルの加算やスカラー倍、ベクトルの比較といった問題解決において、正確な計算とその結果の解釈が可能になります。幾何学的な視点と解析的な視点を融合させることで、ベクトルの取り扱いがより効果的になります。
ベクトルの例
位置ベクトル
原点から空間内の点までの距離と方向を示すベクトルです。例えば、点 \(P(x,y)\) に対する位置ベクトルは \(\mathbf{OP} = (x, y)\) です。
変位ベクトル
ある点から別の点への変化を示すベクトル。例えば、点 \(A(x_1, y_1)\) から点 \(B(x_2, y_2)\) への変位ベクトルは \(\mathbf{AB} = (x_2 – x_1, y_2 – y_1)\) です。
力のベクトル
力の大きさと方向を示すベクトル。物理学では、力のベクトルはその作用する方向と大きさを示すために用います。
参考文献
参考文献を挙げます.アフィリエイトリンクです.