四則演算の法則【解析学2】

解析学

実数の四則演算が満たす法則について説明します.

実数の四則演算では,下記のような一見当たり前にみえる法則を満たします.

交換法則

実数の和と積に関して,順序を入れ替えることができます.

\(a, b \in \mathbb{R}, a + b = b + a, ab = ba\)

前者を和についての交換法則,後者を積についての交換法則といいます.

結合法則

3つの実数の和,あるいは3つの実数の積に関して,計算する順序を変更することができます.

\(a, b \in \mathbb{R}, (a + b) + c = a + (b + c), (ab)c = a(bc)\)

前者を和についての結合法則,後者を積についての結合法則といいます.

分配法則

実数の和に実数をかけたものは,それぞれに実数をかけてから和をとったものと等しくなります.

\(a, b, c \in \mathbb{R}, a(b+c) = ab+ac, (a+b)c = ac+bc\)

和に関する零元と逆元

すべての実数に対して,足してそれ自身になるような数\(0\)があります.

\(\forall a \in \mathbb{R}, \exists 0 \in \mathbb{R}, a+0 = a\)

\(0\)を和に関する零元といいます.

すべての実数に対して,足して\(0\)になるような数があります.

\(\forall a \in \mathbb{R}, \exists -a \in \mathbb{R}, a + (-a) = 0\)

\(-a\)を和に関する\(a\)の逆元,特にマイナスといいます.

積 に関する単位元と逆元

すべての実数に対して,かけてそれ自身になるような数\(1\)があります.

\(\forall a \in \mathbb{R}, \exists 1 \in \mathbb{R}, 1 \cdot a = a\)

\(1\)を積に関する単位元といいます.

すべての\(0\)でない実数に対して,かけて\(1\)になるような数があります.

\(\forall a (\neq 0) \in \mathbb{R}, \exists \displaystyle\frac{1}{a} \in \mathbb{R}, \displaystyle\frac{1}{a} \cdot a = 1\)

\(\displaystyle\frac{1}{a} \)を積に関する\(a\)の逆元,特に逆数といいます.

和\((+)\)と積\((\cdot)\)が定義されていて,和と積の交換法則,和と積の結合法則,分配法則,和の零元と逆元の存在,積の単位元と逆元の存在を満たす集合のことを可換な体(可換体)といいます.

実数全体の集合\(\mathbb{R}\)は可換体であり,実数体とよばれています.

累乗と指数法則

実数\(a\)に対し,\(n\)を正の整数として,\(a\)の\(n\)個の積を\(a^n\)とかき,\(a\)の累乗といいます.

\(0\)でない実数\(a\)に対し,\(a^0 = 1, a^{-n} = \displaystyle\frac{1}{a^n}\)とします.

累乗については,下記の指数法則が成り立ちます.

\(a, b \in \mathbb{R}, m, n \in \mathbb{Z}, a^m \cdot a^n = a^{m+n}, (a^m)^n = a^{mn}, (ab)^n = a^nb^n\)

参考文献

解析学に関する参考文献を以下に挙げます.

松坂和夫著,『解析入門』


杉浦光夫著,『解析入門I』


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