命題の定義【形式論理学入門1-1】

logic 形式論理学

形式論理学の学習の記事です。本記事では形式論理学の基礎である命題の定義について説明します。

命題の定義

形式論理学で取り扱う命題(proposition)は、真偽が確定している文であるといわれます。

いわゆる平叙文がこれに当たります。

「彼はドアを閉める。」

この文においては、「彼がドアを閉める」ということが文の内容をなし、そのことが事実かどうかにより、この文の真偽が定まるからです。

他方で、疑問文、命令文、感嘆文は命題として扱われません。

「彼はドアを閉めるだろうか?」

疑問文は内容を問うているのであり、主張しているのではありません。

「ドアを閉めてください。」

命令文は内容を相手に要求するのであり、その文に真偽があるとは言えません。ただし、「ドアを閉めてよい」、「ドアを閉めるべきだ」、などのような文は真偽を考えることができる場合があります。

推量する文、「彼はドアを閉めるだろう」に関しては、断定があいまいですので原則的には命題と言えません。

命題は記号で\(P, Q, R, \dots\)と表します。

例題 次の文から命題であるものを選べ。

(1) 明日は雨が降るだろう。

(2) 富士山は日本でいちばん高い山である。

(3) その映画は面白い。

(4) 今日は何曜日ですか?

(5) \(\sqrt{2}\)は有理数である。

(6) すべての偶数は\(2\)の倍数である。

(7) 光は音より速い。

解答例 (2)、(5)、(6)、(7)

(1) 命題ではない→推量 (2) 命題である (3) 命題ではない→主観的 (4) 命題ではない→疑問文 (5) 命題である (6) 命題である (7) 命題である

古典論理

命題の真偽が確定しているとして取り扱う態度を古典論理(classical logic)といいます。

他方で、形式論理学の発展の中で命題の真偽を柔軟に取り扱う態度が登場します。

例えば、多値論理(many-valued logic)として、真・偽・不明という三つの値をとる論理がありますし、確率論理(probabilistic logic)として、50%の確率で真、という見方をする論理もあります。制御工学ではファジー論理(fuzzy logic)も重要です。

これらの多様な論理について学ぶ前に、古典論理についてしっかり学ぶことがどうしても重要であると筆者は考えています。

問題

問題1 以下の文から命題であるものを選べ。

(1) 宿題をしなさい。

(2) 地球は太陽の周りを回っている。

(3) \(\pi\)は\(3.14\)より大きい。

(4) 今日は水曜日である。

(5) 数学は面白い。

解答例 (2)、(3)、(4)

(1)は命令文なので命題ではない、(2)は命題、(3)は命題、(4)は命題、(5)は主観的なので命題ではない。

参考文献

論理学を学ぶのに最適な書籍を紹介します。

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