数直線と実数の大小関係【解析学3】

解析学

数直線と実数の大小関係について解説します.

数直線

実数を表すモデルとして,数直線をあげることができます.

無限に伸びる直線を想定して,その直線上に一つの点をとります.

この点を原点\(O\)とします.

原点\(O\)の右側にもう一つ点をとり,これを\(E\)とします.

線分\(OE\)の長さを\(1\)と定義します.

任意の直線上の点の,原点\(O\)からの長さを実数とみなすことができます.

ただし、正負の関係があり,原点\(O\)の右側の点(\(E\)側の点)が正の数,左側の点が負の数となります(図2‐1).

図2‐1 数直線

整数は数直線上では原点\(O\)を含んで,長さ\(1\)で等間隔に並ぶ点列として表されます(図2‐2).

図2‐2 数直線上の整数

有理数(整数ではない)は,二つの整数の点の間の点として表されます.

例えば,\(\displaystyle \frac{1}{2}\)は線分\(OE\)を二等分する点\(A\)となります(図2‐3).

図2‐3 1/2を表す点A

線分\(OE\)の間には,無限に有理数が存在することになります.

線分\(OA\)の間に\(OA\)を二等分する点\(B\)があり,さらに線分\(OB\)の間にこれを二等分する点\(C\)があり,…といった具合です.

これを有理数は数直線上に稠密に存在する,といいます.

実数の大小関係

二つの実数\(a, b\)では,次の三つの関係の内のどれかが必ず成立します.

\(a < b, \: a = b, \: a > b\)

つまり,実数には大小関係があり,大小を比較することができます.

\(a < b\)または\(a = b\)であることを,\(a \leq b\)とかきます.

相等・大小関係にはいくつかの規則がありますので,ここで簡単に触れます.

相等関係についての規則

任意の実数\(x\)に対して,\(x = x\)が成り立つ.(反射律)

任意の実数\(x, y, z\)に対して,\(x = y, y = z\)ならば\(x = z\)が成り立つ.(推移律)

任意の実数\(x, y\)に対して,\(x = y\)ならば\(y = x\)が成り立つ.(対称律)

任意の実数\(x, y\)に対して,\(x = y, y = x\)ならば\(x = y\)が成り立つ.(反対称律)

大小関係についての規則

任意の実数\(x, y, z\)に対して,\(x < y, y < z\)ならば\(x < z\)が成り立つ.(推移律)

任意の実数\(x, y, z\)に対して,\(x \leq y, y \leq z\)ならば\(x \leq z\)が成り立つ.(推移律)

任意の実数\(x, y\)に対して,\(x \leq y, y \leq x\)ならば\(x = y\)が成り立つ.(反対称律)

これらの中で推移律と反対称律は,証明問題や極限を求める問題で有用であることがあります.

不等式と加法・乗法

不等式と加法・乗法の関係を簡単に見ていきます.

不等式\(a < b\)の両辺に\(c\)を加えてもそのまま成立します.

\(a, b, c \in \mathbb{R}, a < b \Leftrightarrow a+c < b+c\)

この関係から,\(a > 0 \Leftrightarrow a-a > -a \Leftrightarrow 0 > -a\)となります.

\(a, b\)が正ならば\(ab\)も正です.

\(a, b \in \mathbb{R}, a\geq0, b\geq0 \Rightarrow ab\geq0\)

この関係から,\(a \in \mathbb{R}, a^2 = (-a)^2 \geq 0\)となります.

参考文献

解析学に関する参考文献を以下に挙げます.

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