リソソーム【高校生物の復習1-14】

高校生物

高校生物の復習の記事です。こちらではリソソームについて解説します。

概要

リソソームは、真核生物の細胞に存在する膜で囲まれた小器官で、細胞内のさまざまな不要物を分解する役割を担っています。内部には約50種類以上の加水分解酵素(リソソーム酵素)が含まれ、これらが働くことで、タンパク質、脂質、糖質、核酸などのさまざまな生体分子を分解します。リソソームの働きは、細胞内の代謝を維持し、細胞が正常に機能するために不可欠です。

リソソームの構造

  • 膜構造
    リソソームは単一のリン脂質二重層膜に囲まれており、この膜が加水分解酵素を細胞質から隔離します。これにより、リソソーム酵素が細胞自体を損傷するのを防ぎます。
  • 内部環境
    リソソーム内部はpH約4.5~5.0の酸性環境に保たれています。この酸性環境は酵素活性を最適化し、細胞質の中性環境からの酵素漏れを防ぐ役割も果たします(中性環境では酵素はほとんど機能しない)。

リソソームの働き

リソソームの主な働きは以下の通りです:

  1. 細胞内消化(オートファジー)
    • 不要になった細胞小器官やタンパク質などを分解し、それらを再利用可能な分子に変換します。
    • 例:損傷したミトコンドリアを分解するミトファジー。
  2. 細胞外から取り込まれた物質の分解(エンドサイトーシス)
    • 食作用(ファゴサイトーシス)や飲作用(ピノサイトーシス)で取り込まれた物質をエンドソームを介して分解します。
    • 例:細菌やウイルスの分解。
  3. 発生や分化の調整
    • 不要な細胞や組織を分解することで、発生や成長過程に重要な役割を果たします。
  4. 病原体の防御
    • 細胞内に侵入した病原体(細菌やウイルス)を捕捉して分解し、感染を防ぎます。

リソソーム酵素

リソソーム内には以下のような酵素が含まれています:

  • プロテアーゼ(タンパク質分解)
  • リパーゼ(脂質分解)
  • ヌクレアーゼ(核酸分解)
  • グリコシダーゼ(多糖類分解)
  • ホスファターゼ(リン酸基除去)

リソソームの形成

リソソームは以下のようなステップで形成されます:

  1. 酵素は粗面小胞体で合成され、ゴルジ体で修飾される。
  2. ゴルジ体で分泌小胞に梱包され、リソソームに運ばれる。
  3. 酵素がリソソーム内に到達して機能する。

リソソームと病気

リソソームの機能不全は、さまざまな疾患の原因となります。これらは一般にリソソーム蓄積症と呼ばれます。以下は代表的な例です:

  • ゴーシェ病
    グルコセレブロシダーゼの欠損により脂質が異常に蓄積する。
  • ファブリー病
    α-ガラクトシダーゼの欠損による脂質代謝異常。
  • ポンペ病
    酵素グルコシダーゼの欠損による糖質蓄積。

進化的視点:リソソームと細胞の効率性

リソソームの機能は、細胞が環境に適応し、効率よく資源を利用するために進化したと考えられています。細胞内のリサイクル機能を担うことで、細胞の存続を助け、ストレス応答やエネルギー供給にも寄与しています。

参考文献

以下は高校生物を学ぶための参考文献です.

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高校生物のまとめ

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