近似と近似技法【高校物理の復習1-4】

高校物理

高校物理のイントロダクションとして,次元についてまとめています.

近似の必要性

現実の複雑さ:

実際の物理現象は多くの変数が絡み合っており、すべての詳細を正確に扱うのは困難です。そのため、複雑な問題を簡略化して理解しやすくするために近似を行います。

例えば、空気抵抗や摩擦力などの複雑な力を無視することで、物理モデルを単純化することがあります。

モデル化の利便性:

物理学では、理想化されたモデル(例えば、摩擦のない滑車や無限に長いロープなど)を使うことで、問題の解決が容易になります。

これにより、現実の複雑なシステムを簡単に分析でき、基本的な法則や原理を理解しやすくします。

近似の方法

複雑な数式を概算するために、近似を行うことがあります。

以下に数式の近似の手法を紹介します。

線形補間

線形補間とは、ある点での関数の変化が小さいとき、その関数を直線で近似する方法です。関数がその点でほぼ直線的に振る舞う場合に有効です。

数式で表すと、点 \(x\) が \(x_1\)​ と \(x_2\)​ の間にあるとき、線形補間による値は次のように計算されます: \(\displaystyle f(x) \approx f(x_1) + \frac{f(x_2) – f(x_1)}{x_2 – x_1} \cdot (x – x_1)\) ここで、\(\displaystyle \frac{f(x_2) – f(x_1)}{x_2 – x_1}\)​ は2点間の直線の傾きです。

テイラー展開の基礎

テイラー展開は、関数をある点での多項式で近似する方法です。点 \(x_0\)​ での関数 \(f(x)\) の値を、その点での関数の値と微分係数を用いて近似します。

テイラー展開は、関数がその点での微分係数によって多項式で表現されることを利用します。

簡単な形:

点 \(x_0\)​ での線形近似は、\(f(x) \approx f(x_0) + f'(x_0)(x – x_0)\) です。これにより、関数の変化を直線で近似することができます。

より高次の近似では、2次の項や3次の項も追加していきます。

数値近似

数値近似は、方程式や関数の解を数値的に求める方法です。解析的な解が難しい場合に使われます。

数値近似には、数値的なアルゴリズムや手法が用いられます。

:

ニュートン法: 非線形方程式の解を反復的に求める方法です。初期推定値を基に、関数の接線を用いて解を逐次的に近似します。

逐次近似法: 解の推定値を繰り返し更新していく方法です。各ステップでの近似値が次第に正確になります。

小さな量の近似

小さな量や変化が非常に小さい場合、これらの影響を無視して計算を簡素化する方法です。特に微小な変化が関数や方程式の結果に大きな影響を与えない場合に使います。

小角度の近似: 角度が非常に小さい場合、\(\sin \theta \approx \theta\) および \(\cos \theta \approx 1\) と近似することで、計算を簡単にすることができます。この近似は、振り子の運動や波の解析においてよく使われます。

近似の適用

精度の評価:

近似を行う際には、近似の精度や誤差を評価することが重要です。近似が問題にどの程度影響を与えるかを理解し、結果が妥当であるかを確認します。

例えば、線形近似を用いる場合、どの範囲でその近似が適切かを判断します。

適用範囲:

近似が適用できる範囲や条件を理解することが重要です。近似が適用できる範囲を超えると、誤差が大きくなり、結果が正確でなくなることがあります。

例えば、小角度の近似が有効なのは、角度が非常に小さいときに限ります。それ以外の条件では、他の近似手法を用いる必要があります。

近似誤差とは

近似誤差は、実際の値と近似値の間に生じる誤差を表します。近似手法(例えば、線形近似や補間)を使って計算を行った場合、実際の関数の値からどれだけ離れているかを測定することが大切です。

絶対誤差と相対誤差

絶対誤差: 実際の値と近似値の差そのものです。

絶対誤差 = | 実際の値 – 近似値 |

相対誤差: 絶対誤差を実際の値で割ったもので、誤差の割合を示します。

実例: 小角近似で\(x=0.1\) の場合

1. 実際の値

\(x=0.1\) のとき、実際の値は:\(\sin(0.1) \approx 0.09983\)

2. 小角近似の値

小角近似を用いた場合、\(\sin(x) \approx x\) なので、\(x=0.1\) では\(\sin(0.1) \approx 0.1\)

3. 絶対誤差

絶対誤差は、実際の値と近似値の差です:\(| 0.09983 – 0.1 | = 0.00017\)

つまり、絶対誤差は \(0.00017\) です。

4. 相対誤差

相対誤差は、絶対誤差を実際の値で割ったものです:\(\displaystyle \frac{| 0.09983 – 0.1 |}{0.09983} \approx 0.0017 \quad (0.17\%)\)

したがって、相対誤差は約 \(0.17\%\) となります。

問題

次のような複雑な関数 \(f(x)\)の値が、\(2\)つの点 \(x_1 = 1\) と \(x_2 = 4\) で与えられている。\(f(1) = 3,\quad f(4) = 11\)

この関数 \(f(x)\) の値を、\(x = 2.5\) において線形補間を用いて求めよ。

解答例:クリックして表示
  1. 線形補間の定義: 二点間での線型補間は、関数 \(f(x)\) を \(x_1\)​ と \(x_2\)​ で結ぶ直線の式を用いて、その間の任意の点での値を求める方法です。一般的に、\(x_1\)​ と \(x_2\)​ の間の点 \(x\) における \(f(x)\) の値は次のように求められます。\(f(x) \approx \frac{x_2 – x}{x_2 – x_1} f(x_1) + \frac{x – x_1}{x_2 – x_1} f(x_2)\)
  2. 数値を代入する: \(x_1 = 1, x_2 = 4, f(1) = 3, f(4) = 11\)、そして求めたい点は \(x = 2.5\) です。これらを上の式に代入します。\(f(2.5) \approx \frac{4 – 2.5}{4 – 1} \cdot 3 + \frac{2.5 – 1}{4 – 1} \cdot 11\)
  3. 計算: 各項を計算すると、\(f(2.5) \approx \frac{1.5}{3} \cdot 3 + \frac{1.5}{3} \cdot 11\) \(f(2.5) \approx 1.5 + 5.5 = 7\)
  4. 答え: 線形補間により、\(f(2.5)\) の値は \(7\) となります。

参考文献

参考文献を紹介します.以下はアフィリエイト広告です.

タイトルとURLをコピーしました