バロック音楽を紹介する記事です。
こちらでは、クリストフ・グラウプナーの組曲を紹介します。
クリストフ・グラウプナーについて
クリストフ・グラウプナー(Christoph Graupner, 1683年1月13日 – 1760年5月10日)は、ドイツのバロック時代の作曲家で、主にオルガン、室内楽、カンタータ、オペラなど、さまざまなジャンルで多くの作品を残しています。グラウプナーは同時代のヨハン・ゼバスティアン・バッハやゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルのような著名な作曲家と比較すると、長らく忘れ去られていましたが、現在ではその音楽的な価値が再評価されています。
生涯
グラウプナーは1683年、ドイツのクロスターレーベンに生まれました。グラウプナーは、1706年からライプツィヒ大学で法学を学びましたが、この時期に音楽への情熱を追求し、ヨハン・クーナウ(Johann Kuhnau)に音楽を学びました。クーナウは、ライプツィヒのトーマス教会のカントルであり、バッハの前任者としても有名です。グラウプナーはクーナウの指導のもとで、対位法や鍵盤音楽の技術を習得し、その影響は後の彼の作風に大きく反映されました。1707年にハンブルク・オペラでハープシコード奏者として働き始め、後にダルムシュタット宮廷楽団の楽長となりました。彼のキャリアの大半はダルムシュタットで過ごされ、その地で多くのカンタータや器楽曲を作曲しました。
音楽スタイル
グラウプナーの作品は、バロック音楽の華やかさや複雑な対位法の技法に加えて、個性的な和声とリズムの使用が特徴です。彼は700曲を超えるカンタータをはじめ、多数の協奏曲や序曲を作曲しました。また、グラウプナーは器楽曲にも長けており、多数の管弦楽組曲や室内楽曲を残しています。彼の音楽はバロック時代の典型的なスタイルを持ちつつも、独自の創意を持った旋律や構造が見られます。
忘却と再評価
グラウプナーは生涯の終わりに視力を失い、その後彼の作品は長らく忘れ去られていました。彼の遺産はダルムシュタット宮廷によって保管され、出版されることが少なかったため、歴史の中で埋もれてしまったのです。しかし、20世紀後半から彼の音楽が再発見され、特に彼のカンタータや協奏曲が再評価されています。
グラウプナーは、当時バッハがライプツィヒのトーマス・カントール職を目指した際、彼も候補者の一人でしたが、ダルムシュタット宮廷が彼の退職を拒んだため、バッハがその職に就くことになったという逸話でも知られています。
グラウプナーの作品の様々な演奏
ここでは、グラウプナーの作品のチェンバロによる演奏のオススメを紹介していきます。随時更新していきます。
ジヌヴィエーヴ・ソリー
ジヌヴィエーヴ・ソリー(Geneviève Soly)は、クリストフ・グラウプナーのクラヴサン(ハープシコード)音楽の再発見に貢献した重要な演奏家です。彼女の演奏は、そのスタイリッシュな正確さとエネルギッシュな解釈で高く評価されています。特に、彼女の演奏においてグラウプナーのパルティータの一つ一つの舞曲や楽章が持つ独自のキャラクターを見事に表現しています。
例えば、ハ短調とヘ長調のパルティータにおいて、ソリーは活発な部分と荘厳な部分との対比を鮮明に描き出し、聴衆を魅了しています。この演奏スタイルは、同時代のバロックの巨匠であるヘンデルやスカルラッティの作品との類似点も感じさせます。また、彼女が使用するクラヴサンは、歴史的モデルを基にした現代のダブルマニュアル(2段鍵盤)楽器で、豊かな音色と鮮やかな表現力を生み出しています。
批評家からは、技術的な卓越さに加え、彼女の演奏が情感豊かで、グラウプナーの複雑な作曲技法を深く理解している点が特に評価されています。ジヌヴィエーヴ・ソリーは、グラウプナーの音楽の現代における最も優れた解釈者の一人として広く認識されています。
芥川直子
芥川直子さんは、クリストフ・グラウプナーのクラヴサン(ハープシコード)作品を演奏したことで知られています。彼女の代表的な録音のひとつが、2008年にナクソス(Naxos)レーベルからリリースされた**「パルティータ集」です。このアルバムには、グラウプナーのパルティータ イ長調**、ハ短調、そして**ヘ短調「冬」**が収録されています。
芥川さんの演奏は、特にプレリュードやシャコンヌといった華やかな楽章での技術的な輝きが際立っており、グラウプナーの作品に見られるフランスとイタリアの音楽様式を融合させた「ミクスチャー・スタイル」をうまく表現しています。また、グラウプナーが師であったヨハン・クーナウから受け継いだ対位法の技法も、彼女の演奏によって細やかに描き出されています。
このアルバムは、グラウプナーの鍵盤音楽の魅力を現代に再認識させる重要な作品となっており、彼女の情感豊かな解釈と卓越した技術が高く評価されています。
参考文献
参考にしている文献を紹介します。
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