数学の学び直しの記事です.
本記事では,集合の定義について説明します.
集合の定義
数学では,対象となる事柄の「集まり」を考えます.
例えば,正の整数,\(1, 2, 3, \dots\)の全てからなる集合を\(\mathbb{Z}^+\)と書き,正の整数全体の集合といいます.
このように,集合はその構成要素をもち,元,あるいは要素といいます.
集合\(S\)が元\(a\)をもつとき,\(a \in S\)とかき,\(S\)は\(a\)を元にもつ,\(a\)は\(S\)に属する,といいます.
集合\(S\)が\(b\)を元としてもたないとき,\(b \notin S\)とかき,\(S\)は\(b\)を元にもたない,\(b\)は\(S\)に属さない,といいます.
数学において特に重要な集合として,自然数全体の集合\(\mathbb{N}\),整数全体の集合\(\mathbb{Z}\),有理数全体の集合\(\mathbb{Q}\),実数全体の集合\(\mathbb{R}\),複素数全体の集合\(\mathbb{C}\)があります.
集合の記法
集合を表記する方法には,\(\{1, 3, 5, \dots\}\)のように元を列挙していく方法(外延的記法)と,\(\{m|m=2n-1,n\in \mathbb{Z}^+\}\)のように命題を用いて表す方法(内包的記法)があります.
外延的記法で表記する場合には,\(\dots\)で省略される数が容易に推測できる必要があります.
内包的記法は,一般的には\(\{x|P(x)\}\)と表され,命題\(P(x)\)を満たすような\(x\)からなる集合を意味します.
集合の包含関係
集合\(A\)の元が全て集合\(B\)の元でもある場合,\(A \subset B\)とかき,\(A\)は\(B\)に含まれるといいます.
\(A\)は\(B\)の部分集合である,ともいいます.
論理記号を用いて簡単に以下のようにかけます.
\(\forall x \in A, x \in B \Leftrightarrow A \subset B\)
\(\forall \)は「全ての」という意味の記号で全称記号といいます.
\(\Leftrightarrow \)は命題が同値であることを意味する記号です.
\(A \subset B\)であり,かつ\(B \subset A\)である場合,\(A\)と\(B\)は等しく,\(A = B\)とかきます.
論理記号を用いて簡単に次のように書けます.
\(A \subset B \land B \subset A \Leftrightarrow A = B\)
\(\land\)は「かつ」という意味の記号で,連言の記号です.
集合\(A\)と\(B\)が等しいことを証明するためには,\(A \subset B\)と\(B \subset A\)が両方とも成立することを示せばよいことになります.
\(A \subset B\)ですが\(A \neq B\)である場合は,\(A\)は\(B\)の真部分集合であるといいます.
自然数全体の集合\(\mathbb{N}\),整数全体の集合\(\mathbb{Z}\),有理数全体の集合\(\mathbb{Q}\),実数全体の集合\(\mathbb{R}\),複素数全体の集合\(\mathbb{C}\)の包含関係は,以下のように表されます.
\(\mathbb{N} \subset \mathbb{Z} \subset \mathbb{Q} \subset \mathbb{R} \subset \mathbb{C}\)
空集合と全体集合
集合においては,いかなる元ももっていない集合である空集合(\(\phi\))と,想定されうる全ての元を含む集合である全体集合(\(U\))を考えます.
全体集合は任意の集合を含みます.
任意の集合\(A\)に対して,\(A \subset U\).
空集合は任意の集合に含まれます.
任意の集合\(A\)に対して,\(\phi \subset A\)
包含関係に関して,ある集合\(A\)はそれ自身を含みます,すなわち,\(A \subset A\).
推移律が成立します,すなわち,三つの集合\(A, B, C\)について,\(A \subset B, B \subset C\)ならば,\(A \subset C\)となります.
論理記号では,\(A \subset B \land B \subset C \Rightarrow A \subset C\)とかけます.
問題
問題1 集合\(A=\{p, q, r\}\)と集合\(B=\{p, r, q, p\}\)は等しいか?
問題2 以下の集合を外延的記法で表せ.ただし,\(\mathbb{Z^+}\)は正の整数全体の集合を表す.
⑴ \(\{n|n \in \mathbb{Z^+}, 4 \lt n \lt 9\}\)
⑵ \(\{n|n=2m, m \in \mathbb{Z^+}\}\)
解答例
問題1 集合\(A\)の全ての元\(x\)に対して\(x \in B\)が成り立つ.よって\(A \subset B\)である.
集合\(B\)の全ての元\(x\)に対して\(x \in A\)が成り立つ.よって\(B \subset A\)である.
\(A \subset B \land B \subset A \Leftrightarrow A =B\)である.集合\(A\)と\(B\)は等しい.
問題2 ⑴ \(\{5, 6, 7, 8\}\) ⑵ \(\{2, 4, 6, 8, \dots\}\)
参考文献
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