力学の学びなおしの記事です.
力学でよく利用される近似式について説明します.
近似
力学でよく利用される近似式を紹介します.
\( (1+x)^n \unicode{x2252} 1+nx, x \ll 1 \)
\( \sin {x} \unicode{x2252} x, x\ll 1 \)
これらの式は正の数\(x\)が\(1\)より十分小さいときに成り立つのですが,ではどのくらい小さいときか,というのが気になります.
一例として\( (1+x)^2 \unicode{x2252} 1+2x, x \ll 1 \)という近似式で見てみます.
\( x=0.1 \)とすると,\( (1+0.1)^2 =1.1^2 =1.21 \),\( 1+2×0.1 = 1.2 \)であるので,有効数字二桁とすれば等しくなります.
真値と暫定値(測定値)の差を表す指標として誤差があります.
真値が\(T\)である対象を測定・あるいは計算した値が\(M\)であるとき,誤差\(\epsilon\)は次の式で定義されます.
\(\epsilon = |T – M|\)
誤差率は誤差の真値に対する比\(\frac{\epsilon}{T}\)で表されます.
先ほどの例では\(\epsilon = 0.01\)の誤差であり,誤差率が\(\frac{\epsilon}{T} = 0.01÷1.21=0.008 \)つまり\(0.8\%\)の誤差です.
近似式の利用は実用的に重要ですが,近似式を利用する際にどのくらいの誤差が出るかを考察することも大事だと思います.
問題
問題1
以下の式を近似式\((1+x)^n \unicode{x2252}1+nx, x\ll1\)を用いて近似し,誤差と誤差率を計算せよ.
(1) \( (1 + x)^3, x=0.11 \)
(2) \( (1 + x)^5, x=0.05 \)
解答例
(1) \( (1 + x)^3, x=0.11 \)
\((1+0.11)^3\)
\(=1.11^3\)
\(=1.367631\)
\(1+3×0.11\)
\(=1.33\)
誤差:\(1.367631-1.33=0.037631\)
誤差率:\(0.037631÷1.367631=0.0275\dots=2.8\%\)
(2) \( (1 + x)^5, x=0.05 \)
\((1+0.05)^5\)
\(=1.05^5\)
\(=1.27628\)
\(1+5×0.05\)
\(=1.25\)
誤差:\(1.27628-1.25=0.02628\)
誤差率:\(0.02628÷1.27628=0.02059\dots=2.1\%\)
参考文献
力学に関する参考文献を以下に挙げます.
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戸田盛和著,『物理入門コース・力学』
藤原邦男著,『物理学序論としての力学』