胴体骨格【解剖学2‐2】

解剖学

解剖学の復習の記事です。

解剖学における胴体骨格は、人体の中心部を構成する重要な骨格系であり、脊椎、胸郭、および骨盤が含まれます。この骨格系は、体を支えるだけでなく、内臓の保護や体の動きを支える役割を担っています。以下では、各部分について詳しく説明します。

脊椎 (Vertebral Column)

脊椎は、背骨としても知られ、頭部から骨盤に至るまでの中央軸を形成します。脊椎は、33個の椎骨が連なってできており、各椎骨の間には椎間板という柔らかいクッションがあり、衝撃を吸収し、柔軟な動きを可能にしています。

  • 頸椎 (Cervical Vertebrae): 頸椎は、7個の椎骨からなり、首の部分を形成します。第1頸椎は環椎(Atlas)と呼ばれ、頭蓋骨を支えています。第2頸椎は軸椎(Axis)と呼ばれ、首を回す動作に重要です。
  • 胸椎 (Thoracic Vertebrae): 胸椎は、12個の椎骨から成り、肋骨と接続し胸郭の一部を形成します。胸椎は他の脊椎と比べて可動性が低く、胸部の保護に役立ちます。
  • 腰椎 (Lumbar Vertebrae): 腰椎は、5個の大きな椎骨からなり、腰の部分を支えます。腰椎は体重を支える重要な役割を果たしており、脊椎の中でも最も大きく、頑丈です。
  • 仙椎 (Sacral Vertebrae): 5個の仙椎は癒合して仙骨を形成し、骨盤と結合します。仙骨は、骨盤の後部を支え、体重を下肢に伝えます。
  • 尾椎 (Coccygeal Vertebrae): 4個の尾椎が癒合して尾骨を形成し、脊椎の末端に位置します。尾骨は、進化の名残であり、機能的な役割は少ないですが、周囲の筋肉や靭帯の付着部として機能します。

胸郭 (Thoracic Cage)

胸郭は、胸部に位置し、心臓や肺などの重要な臓器を保護する骨格構造です。胸郭は12対の肋骨、胸骨、そして胸椎から構成されています。

  • 肋骨 (Ribs): 肋骨は12対あり、胸椎に接続して胸郭を形成します。肋骨は柔軟で弾性があり、呼吸の際に拡張したり収縮したりします。肋骨の前部は軟骨(肋軟骨)によって胸骨に接続していますが、第11および第12肋骨は自由肋骨(floating ribs)と呼ばれ、胸骨には接続していません。
  • 胸骨 (Sternum): 胸骨は、胸郭の前面中央に位置し、3つの部分(胸骨柄、胸骨体、剣状突起)に分かれています。胸骨は、上部の頸骨柄で鎖骨と接続し、下部では剣状突起に続きます。
  • 胸椎との関係: 胸郭は12個の胸椎と関係し、各肋骨が胸椎と関節を形成しています。この関節は、呼吸における肋骨の動きを可能にしています。

骨盤 (Pelvis)

骨盤は、体の下部を支える強固な骨格構造であり、脊椎と下肢をつなぐ役割を担っています。骨盤は2つの寛骨、仙骨、尾骨から構成されています。骨盤は、内臓を保護し、体重を下肢に分散させる重要な役割を果たします。

  • 寛骨 (Coxal Bone): 寛骨は、腸骨、坐骨、恥骨の3つの骨が癒合して形成されます。寛骨は骨盤の側面を形成し、仙骨と関節を形成しています。また、寛骨臼(Acetabulum)と呼ばれるくぼみがあり、大腿骨頭と関節を作り、股関節を形成します。
    • 腸骨 (Ilium): 腸骨は骨盤の最上部に位置し、広く扁平な形をしています。
    • 坐骨 (Ischium): 坐骨は、骨盤の下部後方に位置し、座る際に体重を支える部分です。
    • 恥骨 (Pubis): 恥骨は骨盤の前部に位置し、両側の恥骨が結合して恥骨結合を形成します。
  • 仙骨との関係: 骨盤の後部では、仙骨と寛骨が仙腸関節で結びつき、骨盤の安定性を提供しています。仙骨は脊椎の一部として体重を分散させる役割もあります。
  • 骨盤の機能: 骨盤は、体重を下肢に伝達し、内臓(膀胱、直腸、生殖器)を保護する役割を担っています。男女間で形状に差異があり、女性の骨盤は出産に適した広い形状をしています。

胴体骨格の役割

胴体骨格全体は、以下のような重要な機能を果たします。

  • 支持: 体の重さを支えることで、立ったり歩いたりするための安定性を提供します。
  • 保護: 胴体骨格は、重要な臓器(脳、脊髄、心臓、肺、生殖器など)を外部からの損傷から守る役割を果たします。
  • 運動: 骨格筋が胴体骨格に付着し、体の動きや姿勢の保持を助けます。脊椎や骨盤の構造は、体の柔軟性と強さを両立させています。
  • 体重の伝達: 骨盤を通じて脊椎から下肢に体重を伝えることにより、立位や歩行を可能にします。

これらの構造は、人体の中心を構成し、身体の基本的な機能を支える役割を果たしています。脊椎、胸郭、骨盤が連携して、体の安定性、運動性、内臓の保護に貢献していることがわかります。

問題

以下の文の括弧に適切な語句を入れよ。

人体の中心を支える骨格系である胴体骨格は、( 1 )、( 2 )、および骨盤から構成されている。脊椎は( 3 )個の椎骨でできており、これらの椎骨の間には( 4 )という柔軟なクッションが存在する。胸郭は( 5 )対の肋骨、胸骨、そして胸椎で構成され、重要な臓器を保護している。骨盤は、( 6 )、仙骨、尾骨で構成され、体重を( 7 )に伝える役割を持つ。骨盤の側面を構成する寛骨は、( 8 )、坐骨、恥骨から成り立ち、股関節を形成するくぼみである( 9 )を持つ。胴体骨格全体は、体重の支持や臓器の( 10 )を果たし、身体の運動においても重要な役割を担っている。

解答例:クリックして表示
(1) 脊椎、(2) 胸郭、(3) 33、(4) 椎間板、(5) 12、(6) 寛骨、(7)下肢、(8)腸骨、(9)寛骨臼、(10)保護

参考文献

以下は解剖学を学ぶための参考文献です.

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